Q 地中熱と地熱は何が違うの?

A 地中熱とは、地下の浅い場所の低温の熱、地熱とは、地球内部の高温の熱のことです。

地表からの深さが10mくらいになると、地中の温度はその地域の年平均気温にほぼ等しくなり、年中一定になります。さらに深くなれば地中温度は徐々に上昇しますが、100m程度の深さでも地中温度の上昇は2~4℃程度といわれています 。

 

このような地表から浅い地中で安定した温度状態にある熱を「地中熱」といいます。

 

これに対し、地球内部のマグマなどによる高温の熱エネルギーを「地熱」といいます。その温度は数百度から数千度に達するような非常に高温で、温泉地帯では園芸ハウスなどへの利用、また火山地帯では地熱発電などとして活用されています。

地熱利用のイメージ
地熱利用のイメージ

Q 地中熱利用ってなぁに?

A 地中の温度と気温の温度差を利用してエネルギー利用することです。

四季のある日本では気温が変化するのに対し、地中温度は年間を通じて一定なため、夏や冬には気温と地中の温度との間には10℃~15℃以上もの温度差が生じており、地中温度は夏は冷たく冬は暖かく感じます。この温度差を利用して空調の熱源など私たちの生活に利用することを地中熱利用といいます。

 

私たちの足元にある再生可能エネルギーとしての地中熱ですが、その利用は昔から日常生活の中でも見られ、食品保存のための地下室の利用や、古くは竪穴式住居なども地中熱を巧みに生活空間に取り入れたものと言えます。

地表温度と地中温度の年間比較
地表温度と地中温度の年間比較
空調への地中熱利用
空調への地中熱利用

(引用:地中熱利用促進協会パンフレット)


Q 地中熱ってどのように利用するの?

A 気温と地中の温度差を利用して熱交換を行うことで地中熱を利用します。

熱交換を行う方法として代表的なものには、クローズドループ方式とオープンループ方式の2種類があります。

 

クローズドループ方式は、地中で熱交換を行う方法で、地中にU字型のパイプ(Uチューブ)を地中に挿入し、循環液(水もしくは不凍液)を介して熱交換を行います。 Uチューブの設置方法には、地表面に対し、垂直、水平、斜めに設置する方法があり、それぞれ垂直型、水平型、傾斜型といいます。  

 

オープンループ方式は、地下水を直接汲み上げて熱交換を行います。 この方式には、熱交換後の地下水を、地下に戻す方法、地下に戻さず地表で放流する方法などがあります。

代表的な地中熱利用方式
代表的な地中熱利用方式

(引用:地中熱利用促進協会パンフレット)


Q 岐阜地域に適した地中熱利用の方法は?

A 岐阜地域は、効率の良いオープンループ方式による地中熱利用が可能な地域です。

地下水を直接汲み上げるオープンループ方式は、クローズドループ方式と比べ利用できる熱量が大きく効率が良いという長所があります。

 

岐阜地域は、豊富な地下水に恵まれており、昔から井戸利用が盛んで現在でも多くの井戸が使用されています。もし、敷地内に使用可能な井戸があり水量に余裕があれば、地下水を空調に活用する場合、設置費の削減につながります。

 

また、新しく井戸設置をする場合でも、比較的小規模な井戸で必要な水量を確保できる地域が多く、オープンループ方式の採用が適していると言えます。

オープンループ方式による地中熱利用施設例 (岐阜市内)
オープンループ方式による地中熱利用施設例 (岐阜市内)
施設例に設置される空調設備
施設例に設置される空調設備


Q 実際に地中熱を利用している施設はあるの?

A 岐阜・西濃地域の公共施設、民間ビル、住宅などで利用されています。

地下水が豊富な岐阜地域や西濃地域では、大型の公共施設や企業の建物、あるいは戸建住宅において既に地中熱が利用されています。

 

いずれもオープンループ方式が採用され、汲み上げた地下水の熱が空調などに利用されています。

 

ここで、代表的な利用施設をご紹介します。 

岐阜市庁舎
岐阜市庁舎
大垣市庁舎
大垣市庁舎
羽島市庁舎
羽島市庁舎

中部電力岐阜支店(岐阜市)
中部電力岐阜支店(岐阜市)
大日本土木㈱ 岐阜本店 社屋(岐阜市)
大日本土木㈱ 岐阜本店 社屋(岐阜市)
西濃建設㈱ 本社 社屋(揖斐川町)
西濃建設㈱ 本社 社屋(揖斐川町)