Q 岐阜市の地下水はどこから来るの?
A 岐阜市の場合も、地下水のかん養源は雨や河川などですが、長良川沿いに広がる市街地では長良川が主要なかん養源になっています。
下図は、長良川の近くで観測された地下水位と長良川河川水位の変化を示したもので、両者は非常によく似た変動を示しています。
特に、7月10日(A)には降水量の割合に比較して河川水位と地下水位が大きな上昇を示すのに対し、9月30日(B)には降水量が非常に多いにも関わらず、河川水位と地下水位の上昇量は比較的小さくなっています。
このことからも、周辺地下水が長良川河川水と密接な関係にあることが伺われます。
Q 岐阜市の地下水質と長良川の関係は?
A 岐阜市街地の地下水の水質は、長良川の水質と高い相関があります。
地下水の水質は様々な要因で決まります。主な要因としてかん養源となる雨や河川の水質、地下水が浸透する地盤の土壌成分などがあります。
下図左は岐阜市街地の地下水の流れを、また右図は長良橋における河川と地下水の水質の相関性(色が濃いほど相関性が高い)を示しています。
長良橋付近を頂点とする長良川からのかん養により、市街地を流れる地下水の水質は、長良川南部地域を中心に長良川河川水質と高い相関性を示しています。
(引用:平成22年度 豊水期・渇水期地下水位観測調査業務)
Q 岐阜市の地下水の水質は?
A Na、Caなどの成分は長良川から遠ざかるにつれ多くなる傾向があります。
下図は、平成17年~20年に実施された岐阜市内の地下水質調査の結果から、ナトリウムNa、カルシウムCa、マグネシウムMgの濃度分布を示したものです。
前頁に示した長良川河川水質との相関性を示す特徴と同じく、長良川に隣接する市街地では各成分とも河川水質を反映して濃度が小さくなっていますが、長良川から遠ざかるにつれて濃度が大きくなる分布を示しています。
岐阜市内の地下水水質濃度分布(Na,Ca,Mg)
(引用:平成22年度 豊水期・渇水期地下水位観測調査業務)
Q 岐阜市の水道水に地下水を利用する利点は?
A 水質が良好で、水量についても渇水などの影響を受けにくいことです。
一般的に、地下水の水質は地下に浸透する際に土壌が不純物等をろ過・吸着するため良好と言われています。また、水量についても河川水と比べ渇水などの影響を受けにくいと言われています。
岐阜市の水道水源で最も規模が大きい鏡岩水源地は、清浄な長良川の伏流水を水源としており、浄水処理においてろ過処理を必要としません。
なお、これは地下水・伏流水が常に無菌、無害であることを示すものではなく、地下水にも自然由来または汚染等により細菌や有害物質を含む可能性もあります。岐阜市の水道についても、水道事業者において常に水道水質の安全を確認しています。
Q 岐阜市の地下水の不思議ってなぁに?
A 地下水の温度が、実際に夏は冷たく、冬は温かくなる地域があることです。
一般に、地中の温度は年間を通してその地域の年平均気温にほぼ等しい温度で安定しています。
このため、地中を流れる地下水も年間を通して一定の水温となっていますが、かん養源の長良川に近い浅層地下水では、かん養後から流動しながら徐々に安定した水温へと変化するため、かん養源の近くでは表流水の温度の影響が長期間わたって残ることになります。
下図は、かん養源の長良川に近い岐阜市街地における地下水温の季節変化を示しています。
長良橋付近を頂点にかん養された地下水は時間をかけゆっくり流動するため、冬期にかん養された低温の地下水が夏期に、また夏期にかん養された高温の地下水が冬期に到達する地域があり、ここでは季節とは逆の不思議な水温分布となっています。
(引用:平成22年度 地中熱利用可能性調査)